ヘブンショップ

デボラ・エリス作 さくまゆみこ訳
すずき出版 2006年 小学校高学年から

マラウイ最大の都市に住むビンティは、私立の女子校に通い、啓蒙的なラジオドラマに出演している13歳の少女。その順調な日々が、父のエイズ死をきっかけに暗転する。おじの元で働かされ、HIVへの偏見にさらされる状況に陥り、姉はそこから逃げ出すが、ビンティはひとり祖母の村へと向かう。祖母は、エイズから目をそらさず、村の孤児たちを引きとって教育を受けさせるなど、人々の信頼を集める人物だった。つらい現実に打ちひしがれていたビンティだったが、まわりの人々に助けられながら生活に希望を見出していく。少女の内面の成長を描きつつ、マラウイの社会状況やHIVをめぐる現実についても、綿密な取材に基づいてわかりやすく書いている。