ライオンとねずみ:古代エジプトの物語

リーセ・マニケ文・絵 大塚勇三訳 
岩波書店 1984年 小学校中学年から

デンマークのエジプト学者が、「デモティック」と呼ばれる象形文字で書かれた物語を古文書から訳し、再話した絵本。昔、砂漠の中にいた大きくて強いライオンが、人間によってひどい仕打ちにあった動物たちに出会い、腹をたて、人間をさがしに出かけた。その途中、1匹の小さいネズミに出会ったライオンは、小ネズミをふみつぶそうとするが、「命を助けてくれたら、あなたの命も助ける」というネズミの提案を聞き入れ逃がしてやる。ところがライオンは人間の罠にかかってしまい……。マニケ自らが描いた、古代エジプトの壁画・浮彫などの形や色をいかした絵が魅力的。見返しにはこの物語の冒頭がデモティックで書かれている。