アフリカゾウ56頭移動大作戦

神戸俊平著  
学習研究社 学研のノンフィクション 2002年 小学校中学年から

アフリカゾウの保護に取り組む日本人獣医師と、ケニア人レンジャーたちのドキュメント。危険を覚悟で、なぜ野生ゾウたちを200キロも離れた土地へ移動させたのか? 疑問を抱きながら劇的な展開に引き込まれて読み進むと、ゾウが住民に被害をあたえていること、その元凶が密猟にあることなどがわかってくる。人とゾウが共存する道を探り、困難な作戦を決行した人々の葛藤も伝わってくる。ケニアの風土やゾウの生態を親しく伝える写真のほか、象牙を切られたゾウや燃やされた象牙の山などショッキングな写真もあるが、密猟と密輸の厳しい現実や、特に日本こそが密輸大国であると知ることで、野生動物の保護が切実な問題として伝わるだろう。