エンザロ村のかまど

さくまゆみこ文 沢田としき絵 
福音館書店 たくさんのふしぎ傑作集 2009年 小学校中学年から

ケニアの北西部にあるエンザロ村では、かまど(ジコ)と草履(パティパティ)が生活の中にいかされている。これはケニアの村人の生活を改善するために働く日本人女性岸田袈裟さんが、故郷遠野に昔から伝わる知恵をヒントにして、エンザロ村の人々に広めたものである。かまどや草履がなぜ必要になったのか、どのようにして現地で定着し、利益をもたらしているのかを、村の人たちの住まいや食事、暮らしぶりを紹介しながらわかりやすく解説している。著者、画家ともに実際に現地を訪れて描いているため、細部まで描写が正確で、日本人の目から見た驚きや発見が随所にもりこまれている。金銭や物品を贈るだけではない海外援助のあり方を考えさせられ、開発教育の好材料にもなるだろう。初版は月刊「たくさんのふしぎ」2004年2月号。「アフリカ子どもの本プロジェクト」発足の出発点となったノンフィクション絵本。