ゴリラは語る

山極寿一著
講談社 15 歳の寺子屋 2012 年 中学生から

人類学・霊長類学者である著者は、ゴリラ生態研究のためコンゴ・ルワンダ国境の森でフィールドワークを実施。本作はその体験に基づいて綴られる。文字通り「ゴリラの家にホームステイ」した著者は、人間の手で家族を殺された子ゴリラ、タイタスとの交流などを通じ、敵とみなされてもしかたのない人間をも受容するゴリラ社会の寛容さに感銘を受ける。そんな著者ならではの視点から、ゴリラと近しい進化をたどってきたわたしたち人間の恋、友情、家族関係や、暴力、戦争についてが、ゴリラの社会性を引き合いに語られる。思春期をむかえる子らへの示唆に富んだ一冊。著者が実施するコンゴでのエコツーリズムについても語られている。