幸せの器

おおきぜんた作
偕成社 2010年 小学校高学年から

ケニアのスラムで生きる少年たちを主人公にした小説。ケニア山のふもとの小さな村で生まれた少年アイザックは、12歳で両親を亡くし、兄や姉と別れ、ナイロビのスラムへやってくる。ところが頼りにしていたおばは、自分たちのことで精一杯で、アイザックにかまう余裕がない。学校にも行けず、かといって仕事もなく、食べるものも満足にない生活……。つらい毎日を過ごすアイザックだったが、スカベンジャー(ゴミ拾い)として自活する年上の少年サミーと出会ったことで、徐々にスラムで生きていく知恵を身につけ、自分の人生を取りもどしていく。著者はケニア在住の詩人。きびしい環境の中で、力強く生きる少年たちの姿を、生き生きと描いている。