リトル・ソルジャー

バーナード・アシュリー作 さくまゆみこ訳
ポプラ社 2005年 小学校高学年から

政府軍に家族を皆殺しにされ、反乱軍の少年兵になったカニンダ。不本意にも慈善団体に保護され、アフリカからロンドンの裕福な里親に引き取られるが、故郷に帰って敵の氏族を殺すことだけを願い続けている。凄惨な記憶がくり返しフラッシュバックされ、カニンダの憎悪と殺意がひしひしと伝わってくる。対立するロンドンの少年グループ、憎き敵の氏族の転入生、罪の意識に押しつぶされそうな里親の娘ローラ……だれもが一触即発の状態で、緊迫感があり先を読まずにはいられない。著者はイギリスYA小説の名手。都会のティーンエイジャーの葛藤とともに、少年兵の心の深い傷が伝わり、リアルな問題として考えさせられる。