ライオンとであった少女

バーリー・ドハティ作 斉藤倫子訳 
主婦の友社 2010年 中学生から

両親をエイズで失い、叔父の計略により偽造パスポートでイギリスに送られたタンザニアの少女アベラと、母親に養子を迎えたいと言われ、不信と不安を抱くようになったイギリス人の少女ローザ。別々の境遇で悩む2人の少女が、やがて出会うこととなる。2人の語りを巧みに用いた展開で、読者は主人公に寄り添いながら物語にひきこまれ、貧困、エイズ、孤児、割礼、人身売買、児童虐待、不法入国、異国の暮らし、養子縁組など、今のアフリカやイギリスのかかえるさまざまな問題を知ることとなる。希望のある安心した子ども時代を送ることのできないアベラのような子どもは、アフリカに、そして世界にどのくらいいるのだろうか。