『マッドジャーマンズ』表紙

マッドジャーマンズ:ドイツ移民物語

ビルギット・ヴァイエ 著 山口侑紀 訳
花伝社 2017年 中学生から

1970年末以降モザンビークから東ドイツに渡った労働者はおよそ2万人。共産主義政権の中、外貨獲得のために移動した彼らは、自らを「ドイツ製」=「マッドジャーマンズ」と呼ぶ。やっと西欧社会に慣れた頃、ドイツ統一のために帰国させられた彼らに東ドイツが支払った賃金の多くは、モザンビーク政府に取られてしまっていたという。幼少期をアフリカで過ごしたドイツ人女性の著者が、取材した人々の話を3人のモザンビーク人に託して物語化したグラフィックノベル。心象風景としてモザンビークの風土、自然、動物たちをアフリカンアートのような大胆なタッチで描き、国と時代に翻弄された若者たちの孤独や友情、恋と心の揺れを生き生きと表現している。