『2枚のコイン』表紙

2枚のコイン:アフリカで暮らした3か月

ヌリア・タマリット作 吉田恵訳
花伝社 2021年 中学生から

ボランティア支援リーダーとして派遣された母親とともに、セネガルの村に滞在した17歳のスペイン人の女の子マルが、3か月間に体験し、考えたことを描いたグラフィックノベル。家や食事、踊る人々、服装や市場、自然や風景などが、カラーの絵で描かれているのでわかりやすい。現地の若者に話を聞き、驚いたり怒ったりしながらセネガルの豊かさと困難の両面に気づいていくマルに、日本の読者も共感をもつだろう。現地で調達した材料で丈夫な建物を建てるという支援のあり方や、若者がラジオで自分の声を発信するという動きも興味深い。ボートで国外に逃れる難民の姿も描かれている。巻末に訳者による背景説明があり、理解を助けてくれる。