かしこいカメのおはなし:アフリカのむかしばなし

フランチェスカ・マーティン文・絵 福本友美子訳 
ポプラ社 2000年 幼児から

動物たちが仲よく暮らすニャサという湖の岸辺で、ある日、騒ぎが起こる。ゾウとカバが、それぞれ自分の大きさと力を自慢して暴れ出したのだ。おびえる小さい動物たちの中で、賢いカメは知恵を働かせ、2匹に綱引きを申し込む……。タンザニア南部に伝わる昔話。イギリス在住の作者だが、タンザニアで過ごした少女時代に最も好きだったお話とのこと。細やかに描き込まれた動物や植物、自然の表情が豊かで、見飽きることがない。デザイナー出身の画家らしく、見開きごとの装飾模様やコマ割りも効果的で、趣がある。訳文も、親しく語りかける調子と、生き生きとした会話体によって、わかりやすく幸福な物語を伝えている。