むらの英雄:エチオピアのむかしばなし
わたなべしげお文 にしむらしげお絵
瑞雲舎 2013年 小学校低学年から
むかしむかし、村から12人の男が、町へ粉をひきに出かけていった。帰り道、森の中を通りかかったとき、ひとりの男が、仲間がそろっているか気になり、人数を数えてみると11 人しかいない。今度は別の男がやっぱり自分を数えないまま、「だれかいないぞ」と大さわぎ。「きっとヒョウにやられたにちがいない」と悲しみ、帰ってから村人に勇敢に戦った男の話をしていると……。なんともゆかいで大らかなエチオピア民話を、のびのびとした版画で魅力的に描き出している。シンプルな話ながら、さまざまな解釈ができるのも楽しい。民話集『山の上の火』(岩波書店)の中の「アディ・ニハァスの英雄」を絵本化したもの。