戦争がなかったら:3人の子どもたち10年の物語

高橋邦典 文・写真
ポプラ社 2013年 小学校高学年から

1989年に始まったリベリア内戦が終わったのは2003年。その翌年に著者が取材し撮影した子どもたちの姿は、『戦争が終わっても』にまとめられた。本書は、その子どもたちの10年後の姿を追ったノンフィクション。著者は、戦場で偶然カメラが捉えた3人の子どもたち(少年兵だったモモとファヤ、砲弾で右手を失った少女ムス)とその後もかかわりながら、彼らの内面に寄り添い、誠実にその変化を記している。多感な時期に戦争によって可能性を奪われた3人が、10数年経ってもいやせない体や心の傷を抱えている様子が伝わる。支援のあり方が難しいことや、ほかにも同様の被害者が大勢いることについても、深く考えさせられる。