ゴリラが胸をたたくわけ
山極寿一文 阿部知暁絵
福音館書店 2015年 小学校低学年から
ゴリラが胸をたたく「ドラミング」は、戦いの合図を意味していると長いこと思われてきた。しかし著者はアフリカ中央部の山の熱帯雨林で群れを観察するうち、疑問を抱くようになる。そしてドラミングは互いが対等であることを確認し合う行為であり、戦いを回避し平和に暮らすための手段として用いられていたことをつきとめる。ゴリラの群れに仲間入りし彼らと共に過ごした研究者ならではのリアルな描写と、ゴリラだけを描き続ける画家が手を組んだ、ゴリラへの深い理解と愛に満ちた絵本。子育て・遊び・争いの仲裁など、ゴリラの生態はわたしたちヒトへの示唆に富んでいる。