ノウサギのムトゥラ:南部アフリカのむかしばなし
ビヴァリー・ナイドゥー作 ピート・フロブラー絵 さくまゆみこ訳
岩波書店 2019年 小学校中学年から
ノウサギのムトゥラはいたずら者。ムトゥラを「ちび」とバカにしていばりちらすゾウに綱引きの勝負をいどみ、実際は綱の一方をカバに引かせて出し抜いたり、ライオン王が人間の娘を嫁にもらおうと、贈り物に子ウサギ10匹をかついでいくところをうまくだましたり。でも、長いしっぽがヒヒにつかまれ、ちょんぎれてしまったり、カメとかけっこをしてうっかり負けてしまったり、まぬけなところもあって憎めない。南アフリカ連邦に生まれ育ち、後にイギリスに亡命して作家となった著者が、子ども時代に聞いた昔話をユーモラスな語り口で再話した。ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国にまたがって暮らすツワナの人たちに伝わる8話を収める。