「林にかくれる」という習性をもつキリンを、日本でただ一人のキリン研究者が、徒歩で追いかけ、その生態にせまっていく。体の模様、長い首、長い足というキリンの特徴が林にすっかり溶けこむ不思議や、キリンの子育てがまるで保育園のようであることなど、今わかっていることだけでなく、わからないことも真摯に報告する研究者の言葉に好感がもてる。タンザニアのサバンナに身をゆだね、観察を続けるうちに五感が研ぎすまされる様子からは、フィールドワークという仕事の魅力が伝わってくる。野生動物の魅力だけでなく、現地での生活の厳しさやおもしろさなども伝わり、さまざまな視点から考えることの大切さにも気づかされる。