おはなしはどこからきたの?:南アフリカのむかしばなし

さくまゆみこ文 保立葉菜絵
BL出版 世界のむかしばなし絵本シリーズ 2024年

南アフリカに暮らす民族ズールーの人びとに伝わる、おはなしの起源を伝える昔話。「おはなし」を求めて旅に出た、南アフリカの小さな村に住む女性マンザンダバは、ウサギやヒヒやゾウなどにたずねたあげく、ウミガメの案内で海の底にたどりつく。そして、陸の様子を彫りつけた木の板とひきかえに、精霊の王と王妃からおはなしのつまった貝がらをもらいうけ、村におはなしをもたらす。男性の伝統の手仕事である木彫りがストーリーのポイントとなっているのがおもしろい。木版画の力強い絵に、家や服装、暮らしぶりが見てとれ、最後に描かれた夜の語りの場面が楽しい。巻末の作者あとがきに、物語の詳しい背景が説明されている。