かきねのむこうはアフリカ

バルト・ムイヤールト文 アンナ・ヘグルンド絵 佐伯愛子訳
ほるぷ出版 2001年 小学校低学年から

ぼくの家の隣に住んでいる奥さんは、きれいな茶色の肌をしたデジレーさんというアフリカ人だ。ある大雨の日、デジレーさんは黄色いレインコートを着て出てくると裏庭の物置を壊し始める。やがてその跡に大きな穴を掘り、穴のまわりに泥で塀を築き、何日もかかってアフリカ式の家をつくりあげる。一部始終を見ていたぼくは、かきねを越えて、泥の家でデジレーさんと一緒にお茶を飲む。初めての異文化体験を子どもの目で描いたスウェーデンの絵本。隣人の変わった行動を素直に受け入れない大人たちをよそに、都会の狭い裏庭で故郷を懐かしむデジレーさんの気持ちに素直に寄り添う子どもの感性が、さわやかな読後感を残す。絵も素朴であたたかい。