チンパンジーとさかなどろぼう:タンザニアのおはなし

ジョン・キラカ文・絵 若林ひとみ訳 
岩波書店 2004年 小学校低学年から

チンパンジーが村の動物たちと一緒に市場に魚を売りに行くが、ずっとつけねらっていた犬に全部盗まれてしまう。動物たちは怒って犬をつかまえ、裁判にかける。ティンガティンガ派の流れをくむ画家は、色鮮やかな民族衣装をまとったキリン、シマウマ、ライオン、アカゲザルなどがダンスの練習をしたり、市場でいろいろな品物を売ったり、パンクしたトラックのタイヤを修理したり、子どもたちのサッカー大会に興じたりする姿をユーモラスに描き、隅々まで楽しめる。文章にはのんびりした雰囲気があり、悪いことをした者は皆で厳しく罰するが、きちんとつぐなえばまた仲間として受け入れるところに、おおらかさが感じられる。