カマキリと月:南アフリカの八つのお話

マーグリート・ポーランド作 さくまゆみこ訳
福音館書店 福音館文庫 2004年 小学校高学年から

動物を主人公にした8つの物語。南アフリカに古くから住み、自然と調和しながら暮らしてきたサン、コーサなどの人々の世界観や物の見方をよりどころに書かれている。月を捕まえようとするカマキリの話、人間がつくりだしたダムのせいですみかを追われたカワウソの話など、読み進むうちに読者はアフリカのブッシュやサバンナの中に入り込み、動物たちと一緒に物語の世界を楽しむことができる。動物たちを通して描かれた愛や友情、他者に対するやさしさは心の地平線を広げてくれる。物語を楽しみながら、大地や自然を守ることの大切さを感じとってほしい。文庫に入り、装丁がやや地味になったが、文章は子どもにも読みやすい。単行本初版は1988年。