ゾウの王パパ・テンボ

エリック・キャンベル作 さくまゆみこ訳
徳間書店 2000年 小学校高学年から

象牙の密輸をめぐる闘いを描く。50年前密猟者によって母親や仲間を殺され、その後群れの精神的支えとなっているゾウ、パパ・テンボと、その時パパ・テンボに足を潰され復讐の憎悪を燃やし続ける密猟者ヴァン・デル・ヴェル。密猟を食い止めに来たハイラム。ゾウの調査をする科学者とその娘のアリソン。それぞれの立場から物語が展開し、謎解きのように進んでいく。4者がそろうラストシーンの迫力は秀逸。ゾウの生態やリーダーの存在、子育ての様子とともに、アフリカのサバンナで象牙をめぐりどれほど残虐なことが起きているかも克明に描かれている。そこに日本も深く関わっていることも、後書きで押さえられている。