バオバブのきのうえで:アフリカ・マリの昔話

ジェリ・ババ・シソコ語り みやこみな再話 ラミン・ドロ絵
福音館書店 2005年 幼児から

マリの語り部が語る中世バンバラ王国の物語の再話に、ドゴンの祭司の家に生まれた画家が絵をつけた絵本。ジョレの村は、種まきの季節にも雨が降らない。その原因は、森に住むひとりの男の子の悲しい呪いの歌だった。バオバブの木に登り「ジョレにあめふるな」と歌うその子は、村人によって森に捨てられた孤児。村人たちが説得しても木から降りようとしないが、ついに自分とそっくりの村の男の子のおかげで心を溶かす。無事に雨が降り、あらためて村に迎えられた男の子は、森の生き物から教わった知恵を王に認められ、やがて賢い王となる。単色の絵と静かに展開する物語は、森や自然の不思議さをしみじみと伝える。初版は1996年「こどものとも」。