もどってきたガバタばん:エチオピアのお話
クーランダー・レスロー文 ギルマ・ベラチョウ絵 渡辺茂男訳
福音館書店 こどものとも世界昔ばなしの旅 1997年 幼児から
『山の上の火』(岩波書店)所収の「しょうぎばん」を絵本化したもの。木の板にいくつかの丸いくぼみをつくったゲームボードを、ここでは原語どおりにガバタ盤と呼んでいる。日本の昔話「わらしべ長者」に似た物語で、主人公の男の子の持っていたものが、人に出会うたびに渡され、違うものとなって手元に戻るのがおもしろい。ガバタ盤からナイフ、槍、馬……と変わっていくのだが、最後はまたガバタ盤が男の子の手元に残り、家に帰るというのが「わらしべ長者」と大きく違うところ。エチオピア伝統絵画を学んだ画家の絵は、人々の暮しや習俗を味わい深く表現し、素朴でくっきりとした物語によく合っている。初版は1986年「こどものとも」。