戦場から生きのびて:ぼくは少年兵士だった
イシメール・ベア著 忠平美幸訳
河出書房新社 2008年 中学生から
シエラレオネに生まれ、12歳で内戦に巻き込まれて少年兵士となった著者の回想録。反乱軍から逃げる間に家族や友人と離別し、苦難の旅の末たどりついたのは政府軍のテントだった。そこは安住の地と思え、銃とマリファナをあたえられて殺戮に明け暮れる。2年後ユニセフに保護されるが、戦闘のただ中にいた元少年兵士には、更生施設の生活はまがいものにしか見えない。彼は激しく反抗し、ドラッグの禁断症状にも苦しむ。やがて大好きだったヒップホップがきっかけで心を開き始めると、この体験を世界の人々に語ることが自分の使命だと自覚する。凄惨なシーンを含む衝撃的な著作ではあるが、著者の巧みな描写力と語りは、読み応えがある。