シュヴァイツァー:音楽家・著作家の実績をなげうって、アフリカの医者として献身した人
ジェームズ・ベントリー著 菊島伊久栄訳
偕成社 伝記世界を変えた人々 1992年 小学校高学年から
1913年にガボン共和国(当時はフランス領)のランバレネに病院を建て、50年にわたりアフリカ人の医療に携わったドイツ人医師アルベルト・シュヴァイツァーの伝記。日本では1950年代から、子ども向けのシュヴァイツァーの伝記が数多く出版されてきたが、その多くは、伝染病のはびこる「暗黒の地」アフリカに生涯を捧げた聖人として描いたものだった。しかし本書は、悩みながら自分の道を切り開いていった1人の人間としての生き方を感傷を排して客観的に追っており、アフリカへの偏見も見られない。本人の著書からの引用や多数の写真も興味深い。「偉人伝」としてよりも、当時のアフリカの様子を知るための資料としてすすめたい。