砂漠の虫の水さがし

山口進著・写真  
福音館書店 たくさんのふしぎ傑作集 2000年 小学校中学年から

幼い頃読んだ本をきっかけに、砂漠の生き物に興味を持った著者が、20年来の夢だった南西アフリカの砂漠に行き、猛暑と乾燥を生きぬく生き物を取材して書いた写真科学絵本。著者は初めにボツワナ共和国のカラハリ砂漠で動物を観察するが、木がまばらにはえた茶色い風景は、著者の思っていた砂漠と違う。砂だけの世界を求めて、1000キロ西のナミビア共和国のナミブ砂漠に向かう。日中気温40度、砂丘の表面が60度にもなる砂漠にも生き物がいる。鍵となるのは水。数日に1度しか出ない霧の中で逆立ちをし水をとるサカダチゴミムシダマシが圧巻。ストーリー性のある構成で読みやすく、写真も珍しい。アフリカ大陸の自然の多様性がわかる1冊。