アフリカでケチを考えた:エチオピア・コンソの人びとと暮らし

篠原徹著  
筑摩書房 ちくまプリマ−ブックス 1998年 中学生から

自然と人間の関係を民俗学的なアプローチから研究している著者が、エチオピアのコンソに何度も通い、人々の暮らしの中に入って、見聞きしたこと、感じたことを記している。山の頂上にあって要塞のように外壁でかこった小さな村に、2000人あまりの人が住むという超過密ぶりに圧倒される。人々の物見高さ(好奇心の強さ)や、なんでも手づくりし、くるくるとよく働く様子、しっかりとした金銭感覚にも驚かされる。著者の価値観がコンソの人々との暮らしの中で通用せず、理不尽に思ったり、してやられたと思ったりしながらも、日本人である自分とはどういうものなのかを考え、コンソの人の知恵を考察していくさまがおもしろい。