サンコン少年のアフリカ物語
オスマン・サンコン著 あべ弘士挿絵
講談社 青い鳥文庫 2001年 小学校中学年から
ギニア共和国生まれの著者が自分の子ども時代(8歳頃)について書いたもの。父が1人、母が3人、兄弟が20人の大家族。年長者、とりわけ祖父ベンバの暖かく包み込むような存在感が印象的だ。動物の世話や家の手伝いをし、家族や友だちと共に自然の中で元気いっぱいに暮らす様子が描かれている。その中で、人間が自然や他の生きものたちに生かされているということや、その命の繋がりの大切さを大人たちがわかっていて、きちんと子どもたちに伝えている。1958年にフランスから独立した時代背景もわかる。子どもの目線から生き生きと書かれていて読みやすく、挿絵も雰囲気をよく伝えている。初版は1993年で、のちに文庫に収録された。