ぼくの心は炎に焼かれる:植民地のふたりの少年

ビヴァリー・ナイドゥー作 野沢佳織訳
徳間書店 2024年 小学校高学年から

1950年代、植民地政府統治下のケニア。土地を奪った白人の子孫である11歳の少年マシューと、使用人として仕える13歳の黒人の少年ムゴの信頼関係の変化をとおして、大人社会のシステムや暴力によって子どもの日常が破壊されていく様子を描いている。幼いころ無邪気に育んでいた友情は、白人移住者への抵抗闘争「マウマウ」が広がる社会のうねりを背景に、きしみ始める。ケニア山麓のキクユ人地域に焦点をあて、ケニア独立以前の歴史の1ページを、2人の少年の視点から描く。これまでの価値観から抜け出せないマシューと、子ども時代を否応なく卒業して社会の荒波をもろにかぶらざるをえないムゴが対比され、ムゴの怒りと悲しみが心に残る。

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